【2021年版】最近話題のBNPLとは?仕組みや種類、ファクタリングとの違いを解説!

最近「BNPL」が話題になり、サービス提供を行う企業も増えてきています。

もともと欧米諸国で若者を中心に人気が爆発したサービスですが、徐々に日本にも浸透しているので関心を持っている方も多いでしょう。

BNPLとファクタリングには、似た性質もあります。BNPLを使った場合でもファクタリングを利用した場合でも、「将来受け取るはずの債権を先に回収できる」からです。

一方、BNPLとファクタリングには様々な違いがあるので、適切な選択をするためにも今回はBNPLの基本、仕組みや種類、ファクタリングとの違い等を解説します。

目次

BNPLとは

BNPLとは、消費者が商品の購入代金を後払いできるサービスです。

「Buy Now Pay Later(バイナウペイレイター)」の略で「BNPL(ビーエヌピーエル)」と呼ばれ、日本語では「後払いサービス」「後払い決済」とも言われます。

消費者がアマゾンなどで購入した商品の代金支払いでBNPLを利用すると、消費者は代金の後払いや分割払いができます。

BNPLとクレジットカードとの違い

「BNPLはクレジットカードの分割払いと何が違うのか?」と疑問を持つ方もたくさんいるので、違いをご説明します。

手数料の負担者

BNPLとクレジットカードでは手数料の負担者が異なります

クレジットカードの場合、分割払いの手数料を払うのは消費者です。消費者は後払いするときにクレジットカード会社に対し、手数料を上乗せした金額を払わねばなりません。よって消費者が払う金額は、実際の商品の金額より高くなってしまいます。

一方BNPLの場合、手数料を負担するのは店舗です。店舗がBNPL業者へ手数料を払わねばならないので、実際に受け取れる金額は商品代金より低くなります。消費者は上乗せ代金を払う必要がありません。この点が大きく異なっています。

利用上限金額や分割払いの期間

クレジットカードとBNPLでは、利用上限金額や分割払いの期間が異なるケースもよくあります。

後に説明しますが、BNPLの場合には2ヶ月を超える分割期間を設定するとBNPL業者が割賦販売法の規制を受け、経済産業省への「登録」が必要となります。

このため規制を受けないために分割期間を2ヶ月以内に設定する業者が多いです。

そのため、2ヶ月以内に払える金額に限定されるので、どうしても限度額が低くなります。

クレジットカードの場合、限度額も50万円や100万円以上など大きく、この点もBNPLとクレジットカードの違いです。

与信枠や与信の審査について

クレジットカードには与信枠があり、枠を超えるとショッピング機能の利用はできません。カード発行の際に個人信用情報を参照するため、審査もあります。

BNPLの場合、基本的にクレジットカードの与信枠とは異なるため、クレジットカード枠に追加で限度額を設定できます。で、また、BNPLの場合、個人信用情報の審査が行われるとは限りません。

以上のように特定の消費者にとっては、クレジットカードよりBNPLの利便性が高く。分割払い手数料負担がない点、またクレジットカードが発行できない属性の方でもBNPLは利用できたりするので、今急速に世界中でBNPLが普及してきています。

BNPLに対する法規制

次にBNPLに対してはどういった法規制が及ぶのか、みてみましょう。

日本では割賦販売法による規制

BNPLは新しいシステムであることから、日本ではBNPLに向けた直接の規制法はありません

ただし「割賦販売法」が適用される可能性があります。

割賦販売法とは、分割払いサービスを提供する業者を管理、規制する法律です。

「包括信用購入あっせん業者」「個別信用購入あっせん業者」の登録

割賦販売法により、消費者に対し2ヶ月を超える期間の分割払い(後払い)を業務として行うには「包括信用購入あっせん業者」や「個別信用購入あっせん業者」の登録をしなければなりません。登録申請先は経済産業省です(割賦販売法31条、35条の3の23)。

ただし後払い期間が2ヶ月以内の「二月払購入あっせん」の場合、登録は不要です。

「クレジットカード番号等取扱契約締結事業者」の登録

「包括信用購入あっせん」や「二月払購入あっせん」であっても、販売業者である加盟店との契約締結を業として営む場合には、経済産業省の「クレジットカード番号等取扱契約締結事業者」で登録しなければなりません(割賦販売法35条の17の2)。

犯罪による収益の移転防止に関する法律

「包括信用購入あっせん」または「二月払購入あっせん」に該当する場合、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」による規制を受けます。たとえば基本契約締結時に、顧客の情報確認などを実施しなければなりません。

2ヶ月以内なら規制が及ばない

日本では、消費者を相手にBNPLを行うとき、後払い期間が2ヶ月以内であれば割賦販売法の規制を受けません。よって短期間の少額決済のみを取り扱うBNPL業者が多数存在します。

英国ではBNPLが規制対象に

BNPLに対する法規制は、海外でも追いついていない状況です。

そんな中、英国では「BNPLであっても消費者に負債を負わせることに変わりはない」として、金融サービス規制当局によって法規制が行われようとしています。

たとえ手数料がかからなくても、多くのBNPLサービスを利用してしまうと支払いが苦しくなって滞納してしまう人が増えるからです。

今後は日本でも同様に、BNPLが割賦販売法や消費者関係の法律によって規制を受けるようになる可能性が十分にあるといえるでしょう。

2種類のBNPLスキーム

加盟店にとって非常に重要な点として、BNPLの2種類のスキームをおさえておくべきです。BNPLには、立替払方式債権譲渡方式があるのです。

立替払方式

立替払方式とは、BNPL業者が加盟店へ商品代金を立て替えて支払うことによって債権者となり、消費者への請求権を取得する方法です。

従来のクレジットカード契約では通常、立替払方式が採用されています。

債権譲渡方式

債権譲渡方式では、店舗は商品代金の請求権をBNPL業者へ譲渡します

BNPL業者は譲り受けた債権の権利者として消費者へ代金請求を行う仕組みです。

債権譲渡型のBNPLでは、代金が未回収となったときにBNPL業者がリスクを負担し、加盟店へは請求されないケースが多数となっています。

主なBNPL業者

海外や日本の主なBNPL業者や種類をご紹介します。

海外のBNPL業者

海外では以下のような業者が有名です。

米Affirm Holdings(アファーム・ホールディングス)

アファームはBNPL業界を牽引する企業です。アメリカで莫大な支持を得ており、ナスダックへの上場も果たしています。

米Paypal(ペイパル)(Paydy)

ペイパルはBNPL業者であるPaydyを買収し、BNPL業界へ参入しました。Paydyは日本でも普及しつつある主要なBNPL業者です。

米Square(スクエア)(Afterpayアフターペイ)

スクエアは、BNPL業者であるafterPay(オーストラリア)を買収してBNPL業界へ算入しました。

スウェーデンKlarna(クラーナ)

銀行業の免許も取得しており、顧客数6000万人を獲得している欧州のBNPL業者です。欧州でのEC市場シェアは10%、導入国数は14にも及んでいます。

引用元:Klarna(クラーナ)の概要

日本のBNPL業者

日本のBNPL業者には以下のようなものがあります。

GMO後払い

GMO傘下の後払いサービスです。支払日は14日以内、買い物枠は55000円以内となっており、コンビニやクレジットカード、各種アプリ等による支払いが可能です。

ATOdENE

ジャックス傘下の後払いサービスです。支払日は14日以内、買い物枠は基本的に55000円ですが、一部は107500円となっています。コンビニ、銀行払い、PayBによる支払いが可能です。

Atone

㈱ネットプロテクションズが提供する後払いサービスです。買い物枠は55000円、支払期間は14日以内でコンビニや郵便局払、LINEPay払いが可能です。

スコア後払い

㈱SCOREが運営する後払いサービスです。買い物枠は55000円、支払期間は14日以内、コンビニ払いが可能です。

クロネコ代金後払い

宅配のクロネコヤマトが運営する後払いサービスです。買い物枠は55000円、支払期間は14日以内、コンビニや郵便局、auかんたん決済を利用できます。

SAGAWA後払い

佐川急便系の後払いサービスです。買い物枠は55000円、支払期間は14日以内、コンビニや郵便局、LINEPayやPayBを利用できます。

メルペイスマート払い

メルカリが、メルカリで購入した商品を後払いするために提供しているサービスです。

月3回自動引落で払う方法や20万円までの範囲で定額払いする方式があります。

日本におけるBNPLの現状

日本では、割賦販売法の規制を避けるため「短期間で少額決済」のBNPLを提供する事業者が比較的多くみられます。

外資系のPaydyの場合、利用限度額は特にもうけられておらず、36回までの長期分割払いも可能となっています。

BNPLとファクタリングとの違い

ここで弊社(AIファクタリングのPayToday)が営むファクタリングとの比較を行ってみます。


結論として、BNPLとファクタリングは似た性質を持ちます。

どちらも「手数料を差し引いて商品代金を先に受け取るスキーム」だからです。

特に「債権譲渡方式」のBNPLの場合、ファクタリングとは同様の効果をもたらすケースが多いです。

ただしファクタリングとBNPLには違いもあるので、以下で説明します。

BNPLとファクタリングの違い一覧表

ファクタリング BNPL
利用者 法人/個人事業主 個人(=消費者)
金額 上限なし
(PAYTODAYの場合:10~5,000万円)
少額のケースが多い
(10万円以下)
利用できる債権の種類 取引先への売掛債権や建設請負債権など、大部分の売掛債権の取り扱いが可能可 消費者への商品やサービスの販売債権に限られる
割賦販売法の規制 受けない 受けるケースあり
債権回収者 譲渡会社(2社間ファクタリングの場合) BNPL業者
手数料 高い 低い
スキーム 債権譲渡 債権譲渡または立替払い契約
代金回収リスク ファクタリング会社のリスク 店舗側
(立替払い方式の場合)
利用目的 資金調達 販売促進

利用できる債権の種類      

BNPLとファクタリングでは、利用できる債権の種類が大きく異なります。

BNPLの場合、債務者(代金を支払う人)は「消費者(=個人)」であることが前提です。

店舗が商品やサービスの販売代金を対象としているからです。少なくとも現時点において、事業者相手の売掛債権、請負債権、運送債権等にはBNPLを適用できない、と言われています。現在のBNPL活用場面は主にECサイトの運営者です。

ファクタリングの場合は、法人/個人事業主の売掛債権、建設請負債権、運送債権などが対象となり、事業を営む方々がファクタリングを活用した資金調達を目的として利用しています。

割賦販売法の規制

ファクタリングの場合、消費者相手の分割払いサービスではないため割賦販売法の規制は受けません。ファクタリング業者が経済産業省で包括や個別信用購入あっせん業者の登録を受ける必要はありません。

一方、BNPLには割賦販売法の規制が及ぶ可能性があります。2ヶ月を超える分割払いの期間をもうける場合には経済産業省で信用購入あっせん業者の登録を受けなければ営業できません。加盟店との契約締結を業務とする場合「クレジットカード番号等取扱契約締結事業者」の登録も必要です。Paydyはこれらの登録を行った上で長期分割のBNPLサービスを提供しています。

債権回収者

一般的なファクタリングの場合(2社間ファクタリングを想定)、債権回収を行うのは譲渡会社(=利用者)です。

一方BNPLの場合には、顧客から債権回収するのはBNPL業者となります。利用会社は資金繰りのためにBNPLを利用しているわけではないので、信用毀損を心配する必要はありません。

手数料      

ファクタリングの場合、ファクタリング会社が不払いリスクを負い、担保/保証を取らず、また対抗要件を具備せずにリスクの高い債権を買い取ります。そのため手数料が高めに設定されていて、一般的には譲渡債権額の10-25%程度となります。

BNPLの場合、BNPL業者が堂々と債権回収を行えるため、手数料は低くなっており、5%以内、標準的に3%程度となります。

スキーム   

ファクタリングの法的スキームは債権譲渡です。利用会社は債権をファクタリングへ譲渡し、手数料を割り引いた代金を受け取って資金調達できます。

BNPLの場合、立替払いスキームと債権譲渡スキームの両方があり、業者によって異なります。

代金未払いの際のリスク

取引先や消費者が支払いをしなかったときのリスク負担者も異なるケースがあります。

ファクタリングの場合、取引先が支払わなかったとしても利用会社に負担は発生しません。回収不能リスクはファクタリング業者が負います。

一方BNPLの立替払方式の場合、利用者が支払いをしないとBNPL業者が利用会社へ商品やサービスの代金を払わないケースがあります。なおBNPLでも債権譲渡方式であれば、代金未回収リスクの保証がついているのが一般的です。BNPLを利用するときには、債権譲渡型の方が安心といえるでしょう。

利用目的

ファクタリングを利用する企業は、通常資金調達を目的としています。

BNPLを利用する企業は「販売促進」を目的としているので、そもそも利用目的が異なるケースが多いといえるでしょう。

BNPLが適している会社

  • 多数の消費者にリーチして販売促進、売上アップしたい
  • 自社で事務負担をせずに、手軽に後払いサービスを導入したい
  • ECサイトを運営して商品やサービスを販売している

ファクタリングが適している会社

  • 資金調達したい
  • 経営状況が苦しいので一時的に資金を得て建て直したい
  • 運送債権や売掛債権、請負債権などの譲渡できる債権がある
  • 取引先に知られずにまとまった資金を獲得したい

BNPLとファクタリングを比較してみましたが、結論として“BNPLとファクタリングはそもそも利用者が異なるため、活用される場面が全く異なる”という結果になりました。

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